2010年9月 8日
子宮頚がんのワクチンができました。
子宮頸がんの原因がパピローマという疣のウイルス(HPV)だということは御存知ですか。このウイルスは100種類以上もあるありふれたウイルスですが、この中のいくつかが発がん性を持っていて、主に性交渉によって感染します。このウイルスの感染を抑えるワクチンができたのです。がんを予防できる時代に入ったのです。性交渉で感染するからといって特殊なことではありません。性交経験のある女性の80%は一生に一度は発がん性HPVに感染するといわれています。ただ発がん性HPVに感染しても90%以上は自然に体内から排除されるために皆が癌になるわけではありません。一部で排除されずに感染が長く続くと、細胞が異常になり前がん状態(異形成)や更に進んで癌になるといわれています。このHPVの感染をワクチンによって予防するわけです。今回認可されたワクチンは16型と18型という日本人女性の頸がんの約70%から見つかっている発がんHPVに対するワクチンです。全部の型のHPVの感染を抑えることはできませんし、HPVは一度排除されても何度でも感染するため、検診で早期発見に努めることは必要です。検診で早期発見できれば、子宮をとらなくても100%治ります。残念ながら日本女性の検診率は20%台で先進諸国内で最低です。
ワクチンの話に戻りましょう。
基本的には、sex debut(男性経験)のない10歳から15歳くらいの人に接種すると一番効果があるのですが、女性は何度でもパピローマウイルスをもらう機会があるのですから何歳でも打っても良いわけです、ただすでに変化を起こしている異常細胞があれば。その進行を遅らせたり、治したりはできません。ワクチンは初回、1ヶ月、6ヶ月後の3回接種して免疫が完成します。全部で4万5千円(当院)と高い薬なので、接種する方の年齢、子供さんの有無などを考えて接種の是非をお決めになると良いと思います。